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『NEWSポストセブン』に連載企画(全4回)が掲載+Yahoo!ニュースに転載されました。
みなさんこんにちは、ジンザイベースの採用担当です。
先日、2025年2月16日、株式会社小学館が運営する総合ニュースサイト『NEWSポストセブン』に当社代表が2024年12月に発刊した書籍『日本人が知らない 外国人労働者のひみつ』(白夜書房)を題材にした連載企画(全4回)が掲載されました。
もはや「建前」では解決できない日本の人手不足という現実。現在、外国人労働者数は230万人を超え(2024年10月時点)、前年比12.4%増と過去最多を更新。日本の労働市場において、外国人材の存在は既に不可欠なものとなっています。
しかし、その実態は意外にも知られていません。
そこで今回は、本連載内で触れられているエピソードに加え、実際に弊社が体験してきた事例を肉付けしつつ、「外国人材支援の現場」をイメージしていただける情報をお届けできたらと思います。
2024年12月に発刊した書籍『日本人が知らない 外国人労働者のひみつ』(白夜書房)については、上記のnoteでも触れられていますので、是非合わせてご覧ください。
また、「ジンザイベースって何やってる会社なの?」という方については、以下の採用ピッチ資料を是非ご覧ください。
SNSが変えた外国人材の 『スムーズな退職術』
例えば、こんな現実をご存知でしょうか?
外国人材たちは、FacebookなどのSNSで情報共有のネットワークを築いています。それは、単なる情報交換の場ではありません。彼らの働き方や交渉力そのものを変える「プラットフォーム」となっているのです。
どんな情報が共有されているのか?
まず目を引くのは、給与明細の投稿です。「俺はこんなにもらっている」「いや俺のほうがもらっている」と、まるで競争のように給与情報が共有されています。
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SNSで共有されている=同僚同士では当然のように給与情報はガラス張りになっています。実際、こんな事例がありました。
都内で10店舗を運営するある飲食店。3名のベトナム人スタッフを採用し、それぞれ別々の店舗に配属しました。入社半年後の人事考課の際、当然ながら能力差による昇給額の違いが生じます。できる人は大幅に昇給し、能力の低い人は昇給幅が小さくなる——これは日本人社員でも同じことです。
ところが、ある日ベトナム人スタッフの一人が、直属の上司を飛び越えて社長に直談判。「〇〇さんは10,000円昇給してるのに、どうして僕は5,000円なんですか?」
このように、同僚間で給与明細を共有し、それを基に待遇改善を求めるケースは珍しくありません。
さらに驚くべきは、「スムーズな退職術」の共有です。連載第1回では、ある地方企業での経験を紹介しています。
ベトナム人たちが持ち出す理由は「実家の父親が倒れました」「母親が倒れました」「親戚が倒れました」の3択。絶対にこの3通りのどれかだった、という。
さらに「日本人はその手のお涙頂戴に弱いから」という解説まで付いているそうです。
コロナ禍では、こうしたSNSを通じた情報共有が、より鮮明な形で表れました。都市部で仕事が減少すると、全国各地から「仕事のある地方企業」へと人材が流れていく。そして状況が改善すると、より条件の良い都市部へと戻っていく——。
このような情報共有と柔軟な労働力の移動は、もはや止めることはできません。なぜなら、SNSという「見えない共有基盤」が、すでに外国人材の働き方の「当たり前」となっているからです。
これは決して特殊なケースではありません。むしろ、業界の新しい常識として認識すべき現実なのかもしれません。外国人材を取り巻く環境は、私たち日本人の想像をはるかに超えて進化しているのです。
「当たり前」が通じない|日本の常識は非常識なのか?
外国人材との協働において、最も戸惑いを感じるのが文化的な価値観の違いです。時として、私たちが「当然」と考えることが、必ずしも世界の「当然」ではないという現実に直面することになります。
一見単純な「できる/できない」の認識すら、実は大きく異なっています。
日本人が「私、泳げます」と言ったとする。その人は25メートルは泳げるんだろうなと考えて間違いない。外国人の場合、たとえ5メートルしか泳げなくても自信満々に「私、泳げます」と言う。
この自己肯定感の違いは、時として思わぬトラブルを引き起こします。あるレストランでは、面接時に「料理はできます」と言うにとどまらず、「おたくの料理長よりも僕のほうが料理はうまいですよ」と豪語した外国人材が、実際に働き始めると普通の料理人以下のスキルしかなく、わずか3日で退職するという出来事も。
日常業務においても、同様の認識の違いが表れます。「書類を回収してください」という指示に対して、「メールを送りました」で終わってしまうケース。日本人からすれば「回収する」は最後まで責任を持つという意味ですが、外国人材にとっては「自分の役割はメールを送ることまで」という解釈になってしまうのです。
さらに興味深いのは、「時間」に対する感覚の違いです。株式会社エイムソウルさんが実施された国際比較調査によると、1ヶ月の遅刻の許容回数は国によって大きく異なります。
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韓国では月3回まで、インドネシアでは月4回まで許容される一方、日本では月1回がぎりぎりの許容範囲で2回目からは不可というシビアな基準。また、遅刻0回については、他国では高く評価される一方、日本では「当然のこと」という認識でした。
この感覚の違いは、外国人材から「終業時間は守らないのに、始業時間だけ厳しいのはなぜか」という疑問の声にもつながっています。日本特有の「暗黙の了解」や「空気を読む」文化が、さらなる混乱を招く要因となっているのです。
このような課題に対して、特に初めて外国人材を受け入れる企業では、戸惑いとストレスを感じがちです。
しかし、解決の糸口は意外にもシンプルかもしれません。それは「完全結果」でのコミュニケーション。
「書類を回収する」→「○月○日までに△△の書類を□□の場所に提出する」
「早く来る」→「始業時刻の15分前に出社する」
「きれいに掃除する」→「床を掃いて拭き、ゴミ箱を空にする」
これは単なるコミュニケーションの工夫ではありません。仕事に対する責任の捉え方、目標達成の基準、さらには「当たり前」の定義まで、文化的な価値観の違いを理解し、適切に対応できるかどうかが、外国人材との協働の成否を分ける重要なポイントとなっているのです。
日本人の「当たり前」が通じない——。それは決してネガティブな事実ではなく、むしろ新しいビジネスチャンスかもしれません。なぜなら、この「当たり前」を超えた先に、真のグローバル化への道が開けているからです。
「選ばれる国」になるための警鐘|加速する二極化の時代
最も深刻なのは、日本側の意識の問題です。それは単なる古い価値観の問題ではなく、日本の労働市場の将来を左右しかねない重大な課題となっています。
いまだに「奴らは日本に来たがってるんだから大丈夫」「うちの会社に定着しないあいつらはおかしい」という感覚でいる会社もたくさんあるのだ。
この「時代遅れの感覚」は、もはや一企業の問題を超えています。なぜなら、人材獲得競争は既に国境を越えた段階に入っているからです。もはや競合は「隣町の○○企業」ではなく、「隣国」なのです。
特に注目すべきは、アジア諸国の急速な経済発展です。例えば、インドネシアは20年後には日本を抜く経済大国になると予測されています。韓国やシンガポールは既に高待遇で外国人材を積極的に受け入れています。にもかかわらず、いまだに「上から目線」で外国人材を見る日本企業は少なくありません。
その結果として、今後加速していくのが「二極化」です。
まず企業レベルでの二極化。外国人材から「選ばれる企業」と「選ばれない企業」の差は、今後ますます広がっていくでしょう。「雇ってやっている」という意識を持ち続ける企業は、必然的に後者へと分類されていきます。
そして最終的には、国家レベルでの二極化へと発展していく可能性があります。「選ばれる国」と「選ばれない国」——。日本がどちらに分類されるかは、まさに今の私たちの意識改革にかかっているのです。特に世代間での意識の差は顕著です。
特に、外国人と接触する機会が少ない地方在住、かつ年配の方となると、古い感覚が濃いめに残っている。若い世代では死語になっている外国人への差別呼称を普通に使う人もいる。
この状況は、地方企業にとって特に深刻な問題となっています。人手不足に悩む地方企業こそ、外国人材の力を必要としているにもかかわらず、古い価値観が残りやすい土壌があるためです。
しかし、ここで考えるべきは「誰が正しいか」ではありません。重要なのは、この状況を放置すれば、日本全体が外国人材から「選ばれない国」になってしまう可能性があるという事実です。
外国人材の採用は、もはや「人手不足だから仕方なく」という消極的な選択ではありません。グローバル化が進む世界で、企業の、そして日本の競争力を維持・向上させるための積極的な経営戦略として捉え直す必要があるのです。
「雇ってやっている」という意識を「共に働く仲間を迎え入れる」という意識に変える。この単純だが重要な意識改革に、日本の労働市場の未来がかかっているのかもしれません。
日本の未来を一緒に創る仲間を求めています
私たちジンザイベースは、まさにこの「外国人材との協働」という課題に真正面から取り組んでいます。
日本の人手不足という課題と、世界に開かれた労働市場という可能性。その接点に立ち、新しい価値を創造していくために、私たちは常に挑戦を続けています。
私たちと一緒に、この新しい時代の扉を開いていきませんか?
専門知識や経験はもちろん大切ですが、それ以上に「当たり前」を疑う好奇心と、多様性を受け入れる柔軟な姿勢を持った方との出会いを楽しみにしています。